男性不妊かも?パートナーとチェックしよう
2024年 7月 18日
「不妊」というと、女性側に原因があるイメージを持っている方は珍しくありません。不妊治療も、女性のほうが基礎体温を記録したり食事に気を配ったりと熱心に取り組むイメージがあるかもしれません。しかし、不妊は決して女性だけの問題ではありません。男性のほうに原因がある「男性不妊」の可能性もあります。
今回は、男性不妊の原因や診断の方法、対処法などを解説します。不妊治療に取り組んでいる方やこれから妊活を始めようと思う方は、この記事を読んで参考にしてみてください。
不妊症の半数は男性に原因がある
不妊治療は、男性より女性のほうが熱心に取り組む傾向があります。基礎体温を記録し、食事に気を配り、サプリメントを服用するなど自分でできることはなんでもやっている方も多いことでしょう。熱心に取り組むあまり、思うような結果が出ないと自分を責めてしまうケースもあります。しかし、不妊は女性だけに原因があるわけではありません。
2017年にWHOが行った調査によると、不妊に悩むカップルのうち、男性のみに原因があるケースが24%、男女ともに原因があるケースが24%という結果でした。つまり、不妊症の半分は男性にも原因があります。
女性だけが不妊治療に取り組んでも、うまくいきません。不妊治療は男女両方が協力して行うことが重要です。
男性不妊とは何か
男性不妊は、大きく分けて3つの種類があります。
・造精機能障害(精子形成障害):精子がうまく作れない
・精路通過障害:精子の排出がうまくいかない
・性機能障害:性交がうまくできない
この中では、造精機能障害の割合がもっとも高く、男性不妊に悩む方の82.4%が該当します。
造精機能障害は、見た目では分かりません。射精は問題なくでき、精液も排出されます。ですから自覚症状はほぼなく、精液検査などをしないと男性不妊かどうかは分かりません。
そのため、女性不妊に比べて発覚が遅れるケースもあります。また、男性は女性に比べて不妊に関する情報の共有がまだまだ遅れており、「射精できるのだから自分は問題ない」と考えている方も珍しくないのです。
男性不妊の原因
男性不妊の原因は、遺伝・ストレス・病気・加齢・生活習慣などがあります。
閉経がある女性とは異なり、男性は一生精子を作ることができますが、それでも加齢によって質や数は悪化していきます。近年は晩婚化がすすみ、40歳前後で結婚する男性も珍しくありませんが、結婚した時点で既に元気な精子が少なくなっている男性もいます。
また、精巣の静脈に血液が逆流して陰嚢部に瘤ができる「精索静脈瘤」を発症していると、精巣内の温度が上昇して精子の質が悪くなることがあります。
しかし、前述したように男性不妊は、性機能障害と一部の精路通過障害以外は自覚症状がほぼありません。また、20代の頃には精機能が正常であっても、30代や40代になってから異常が出るようになり、不妊になるケースもあります。
男性不妊の診断と改善方法
男性不妊の診断方法は病院を受診し、「精液検査」を受けることから始まります。精液検査は、不妊治療を行っているクリニックや泌尿器科で受けられます。一定の条件下で射精をして精液を検査するだけなので、痛みはありません。診断はWHOのガイドラインに沿って行われ、無精子症や乏精子症・奇形精子症などと診断され、そこから治療がスタートします。
病院での男性不妊治療は、「精索静脈瘤」の場合は手術またはホルモン治療が一般的です。また、個人でできる対策としては、亜鉛やビタミン類を含むバランスの取れた食生活を行い、睡眠をしっかり取り、軽い運動をするなど生活を改善することが重要です。
亜鉛は造精機能・精子形成やホルモンバランスの正常化に深くかかわっているとされており、亜鉛不足が男性不妊を引き起こすと指摘する論文もあります。そのため、亜鉛が豊富に含まれている赤身肉やレバー、牡蠣、海藻類、卵、大豆食品などを積極的に食べましょう。
また、皮膚や粘膜、生殖機能の維持を助けるビタミンA、体の調子を整えるために重要な抗酸化作用があるビタミンC・ビタミンEなども意識して摂りましょう。ビタミンAはレバー、乳製品、緑黄色野菜など、ビタミンCはブロッコリーをはじめとする緑黄色野菜や柑橘類など、ビタミンEはアーモンド、アボカド、かぼちゃ、大豆食品などに豊富に含まれています。
上記の点を意識することで、精子の質の向上が期待できます。
不妊治療はパートナーと一緒に助け合って行おう
不妊治療は女性だけが努力してもうまくいきません。両方に原因がある場合も、男性だけに原因がある場合もあります。お互いを責めたり、治療を押しつけ合ったりするのではなく、二人で協力して治療をすすめていくことが重要です。