排卵期の出血は異常?子宮に関する病気ついて
2024年 7月 2日
月経の期間中以外にも性器から出血することを「不正出血」といいます。 不正出血には、真っ赤な出血や生理終盤のような茶色い出血や下着に付着する程度の出血があります。排卵期に出血がおこることがありますが、すべてが不正出血ではありません。一時的なホルモンバランスの乱れによる生理的な出血もあります。しかし、安易に自己解決するのは危険です。なかには治療が必要になる症状もありうるのです。
生理の時期以外での出血ってなぜおこる?
生理でない時期の出血(不正出血)には以下のような原因が考えられます。
なかでも、排卵時期の出血(排卵出血)はホルモンバランスの影響かもしれません。排卵時期は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が大きく変動します。特に、エストロゲンの分泌量が急激に変化し、一部の子宮内膜が剥がれ落ち、月経に似た出血をともなうことがあります。不正出血と勘違いしやすい症状ですが、病気ではありません。
排卵時に出血を確認したらまずは様子を見ましょう。排卵日は、28日の生理周期で考えると、前回の生理開始日から2週間後にあたります。
可能性のある子宮関連の病気について
排卵時期に出血する可能性はありますが、症状が続く場合は子宮関連の病気かもしれません。排卵時期に出血をくり返すようであれば、卵巣出血・子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮がんなどの病気も考えられます。
これらのほかにも、流産や異所性妊娠(子宮の内膜以外で受精卵が成長している状態)の可能性も考えられるでしょう。
何度も不正出血が起こるときは診察へ
月経の期間以外に出血があると、病気の不安を感じるでしょう。しかし、過度に怖がる心配はありません。女性の体調はホルモンバランスの影響を受けやすく、出血もその一つです。特に排卵時期に出血を確認したら、まずは安静にして数日間様子をみてみましょう。
もし激しい腹痛や、性器出血が長引いたり、くり返されたりしたら子宮からのアラームかもしれません。いつもと違う体の変化を感じたら、迷わずに産婦人科の受診をおすすめします。
監修者プロフィール
柴田綾子 (Shibata Ayako) 先生
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医,周産期母体,胎児専門医
2011年群馬大学医学部を卒業後に沖縄で初期研修し2013年より現職。妊婦健診や婦人科外来診療をしながら女性の健康に関する情報発信やセミナーを中心に活動している。
著書:女性の救急外来 ただいま診断中!(中外医学社,2017)、産婦人科ポケットガイド(金芳堂,2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社,2021)