更年期の不安は医療機関で解消!受診のポイントをチェック
2025年 1月 19日

更年期は卵巣の機能が衰えて、最終的に月経が止まる時期を指します。閉経前後の約10年間(45〜55歳頃)を更年期と言い、この時期には体調や精神面でさまざまな変化が現れます。症状が軽い場合は問題ありませんが、日常生活に支障が出るほどの「更年期障害」を引き起こすこともあります。このような症状が現れると医療機関への受診が必要になることがありますが、受診に対して不安や抵抗を感じる方も多いですよね。今回は、更年期障害の症状や治療方法、医療機関での受診の流れについて詳しく解説します!
更年期障害の症状と治療方法
更年期障害は、女性ホルモンの減少によってホルモンバランスの乱れが引き起こすさまざまな不調のことを言います。主な症状は大きく3つのカテゴリーに分かれます。
体が熱くなる症状
ほてりや顔の赤み、急な発汗などが代表的な症状です。特に「ホットフラッシュ」と呼ばれる急激な発汗が現れることが多いです。
身体的な不調
めまいや動悸、肩こり、関節痛、冷えやしびれといった身体的な不快感が増えることがあります。
心の変化
気分が不安定になり、イライラや抑うつ感を感じることもあります。睡眠障害や集中力の低下など、精神面にも影響を及ぼすことがあります。
これらの症状が日常生活に支障が出るほど重くなった場合、更年期障害として治療をすることを考えましょう。治療法には、生活習慣の改善、心のケア、薬物療法が含まれます。
ホルモン補充療法(HRT)
女性ホルモンを補うことで、体温の変動や心身の不調を和らげます。飲み薬、貼り薬、塗り薬などさまざまな方法があり、医師と相談しながら自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
漢方薬
更年期に特有の症状を改善するために用いられることが多いです。例えば、当帰芍薬散は冷え性に、加味逍遥散は不安や不眠に効果があります。
心の薬
精神面の症状が強い場合には、抗うつ薬や抗不安薬などが処方されることがあります。これにより、精神的な安定が得られることが期待できます。
更年期は人生の大きな転機であり、この時期に適切な治療を受けることで、次の人生のステップを快適に迎えるための準備ができます。

受診のタイミングと流れ
更年期症状がある場合は、婦人科にかかるのが良いでしょう。しかし、めまいや動悸、発汗、耳鳴り、意欲の低下、疲れやすい、イライラといた症状は、他の病気が隠れていないか確認することが大切です。
受診時にはまず問診が行われ、日々の体調や症状の具体的な内容が確認されます。これは、どのような治療法が最適かを決めるための情報となります。その後、必要であれば血液検査や超音波検査を行って、ホルモンレベルや身体の状態を調べます。これらの検査結果を元に、適切な治療法を提案されます。
医療機関での診察
病院によっては診察内容や流れが異なる場合がありますが、一般的な流れは次の通りです。
- 問診 日常生活の症状や気になる点を医師に伝えます。ここでは、どのような症状がどれくらい続いているのかをしっかりと伝えることが大切です。
- 血液検査 血液を採取してホルモンのバランスや他の病気が隠れていないかどうかをチェックします。特に甲状腺の病気でないか調べるために、甲状腺ホルモン・甲状線刺激ホルモンを測ることがあります。コレステロール、肝機能、貧血などの数値もチェックします。
- 内診・経膣超音波検査 体調に問題がないか、または他の病気がないかを確認するために内診を行います。内診に不安がある場合は、医師に事前に相談してみましょう。最近では、お腹からの超音波検査で内診を避けられる場合があります。
- 乳房検査 マンモグラフィ、超音波検査、触診で乳がんの有無を調べます。
オンライン診療
最近では、オンライン診療を利用して更年期症状を治療する方法も広がっています。忙しい方や遠方に住んでいる方にとっては、とても便利な方法です。オンライン診療では、ビデオ通話を通じて医師が診察を行い、必要な場合は処方箋を郵送してもらうこともできます。費用はクリニックによって異なりますが、約2000円程度の費用がかかることが多いです。

受診に対する心構え
更年期症状によって生活に支障が出る前に、早めに医療機関を受診することが大切です。我慢せずに症状が現れた段階で医師に相談することが、自分の健康を守ります。受診が不安な場合でも、相談をすると自分に合った治療法が見つかるので、ぜひ一歩踏み出してみてください。
まとめ
更年期は女性ホルモンの低下だけでなく、年代的に子どもの進学や独立、親の介護、仕事や将来の不安などの環境の変化もあり、更年期症状に影響することも考えられます。
「更年期だから」「みんなが経験するから仕方ない」と思ってしまうかもしれませんが、更年期症状を我慢し続けてはいけません。他の病気が隠れている可能性もあるため、症状が続いたり辛いと感じたら放っておくことはせず婦人科などを受診しましょう。
更年期、そして更年期以降の人生を楽しくイキイキと過ごすために早めに対応しましょう!
[監修]産業看護師・更年期指導士 早川 里実 先生
様々な医療現場で看護師として従事し、早期からのヘルスケアの重要性を痛感。現在は、性差による健康課題に焦点を当て、セミナーを通して啓発活動を行っている。