実は知らない!?生理に一生でかかる金額
2025年 5月 19日

~制度の壁と、誰かの「普通」を支えるために~
■ 40年で500回超、でも“自費”で乗り切る現実
生理(月経)は、女性が10代前半から50代半ばまで、ほぼ毎月経験する生理現象です。その回数は一生で約456回、日数にして約2,280日。ですが、そのたびに必要となる生理用品や薬は、ほぼすべて自己負担です。
● 一生でかかる主な費用(目安):※個人差あり。ピルは保険適用外の場合の自費負担を想定。

■ すべてに「消費税10%」がかかっている
生理用品は、現状では食料品や新聞とは異なり、軽減税率の対象外。つまり、生理用品や痛み止め、ピル、関連商品すべてに10%の税金がかかります。
これは生活必需品であるにもかかわらず、「ぜいたく品」扱いされていることを意味しています。
● 海外との比較
イギリス、カナダ、オーストラリア:生理用品は非課税
ドイツ:かつては「贅沢品」税率19% → 7%に引き下げ
スコットランド:生理用品を全国の学校や公共施設で無料配布
■ 「トイレットペーパーのようにナプキンを」—声を上げた議員の現実
2025年3月25日、三重県議会議員の吉田あやか氏が公式Xに投稿した内容が大きな話題となりました。
「突然の生理に対応できず、トイレットペーパーみたいに、生理用ナプキンをどこでも置いてほしい。」
「市役所にも設置を、との議会での質問には、市当局は消極的な姿勢だったような記憶が」
この投稿がきっかけで、1分おきに8000通を超える殺害予告メールが届く事態に発展。2025年4月15日には参議院・内閣委員会でもこの件が正式に取り上げられ、吉田議員は「女性が声を上げると黙らせようとされる現実」について訴えました。
■ 「生理の貧困」—困っているのに声が届かない
この事件の背景にあるのが、今や世界的な課題とされる「生理の貧困(Period Poverty)」です。
・経済的理由で生理用品を買えない
・生理に関する知識や環境が不足している
・社会的に声を上げづらい
厚生労働省の調査によると、新型コロナ流行以降、 8.1%の女性が「生理用品の購入・入手に困った」と回答しています。
■ 日本でも始まった「無償提供」の動き
こうした現状に対し、国内でも少しずつ変化の兆しがあります。
■ 無料で生理用品を提供する取り組み、始まっています
2021年、日本のいくつかの自治体(中野区、豊島区、横浜市など)で、女性用トイレに無料の生理用品を設置する取り組みが始まりました。
例えば中野区では、区役所内の個室トイレに無料でナプキンを取り出せる専用のディスペンサーを設置。突然の生理や、経済的に購入が難しいときの対策として、多くの女性の安心につながっています。
生理はトラブルではなく、「当たり前のこと」。
それを支えるのが、インフラであり、行政であるべき。
こうした流れは、少しずつ企業や学校にも広がり始めています。
福利厚生の一環として、女性トイレにナプキンを常備する会社が出てきており、従業員の声に応えて設置に踏み切る例も増えています。
突然の生理に備えて、トイレットペーパーと同じようにナプキンが“置いてあって当たり前”の職場が増えれば、働く人たちがより安心して過ごせる環境になるはずです。
「うちの会社にもあったら助かるな」
「誰かの困りごとを、そっと減らせるなら置いてみようかな」
そんな共感が少しずつ広がっていくことで、職場や社会の価値観そのものが変わっていくかもしれません。
■ 男性にこそ知ってほしい事実
生理は“体調不良”ではなく、“生理現象”
でも多くの女性が痛みや不調、出血、貧血、情緒不安定などに悩まされながら、日常を過ごしている
そして、そのすべてが「個人の努力」と「自己負担」で成り立っている
■ まとめ:「知らなかった」で終わらせない
生理は、一部の人の問題ではなく、社会全体が支えるべき健康と尊厳の問題です。
そして、吉田議員の言葉のように「ナプキンがどこにでもある社会」は、誰かを助けることができる社会です。
・生理用品にかかる消費税10%の見直し
・公共施設での無料設置
・ピルのアクセスの改善
・男性の理解と共感
「知らなかった」を「知っている」に。
そして「知っている」から「考える」「支える」へ。
それが、誰かの困りごとを“普通に”受け止められる社会の第一歩です。